備前焼をご愛用賜り有り難うございます。いつまでも安全にお
使い頂くために、次の点にご注意くださいますよう御願い致します。
備前焼の焼成
備前焼は釉薬も使わず絵付けもしません。高温で二週間前後もかけてじっくり焼き上げた独特の焼物で、それが自然に「わび」「さび」 の境地につながり、土の持ち味と炎によるその自然の焼成が千差万別、飽くことがないことによるものである。
焼物を焼く温度が800度以下のものを素焼き、それ以上を焼き締め、1000度以上を本焼という。備前焼は本焼きであり、しかも1200度以上の高温で何日間も焼き続けられる焼物である。
焼成を大別すると以下のようである。
1、胡麻(ごま)焼
備前焼を印象づける一般的な焼成で、燃料である松の木灰が
作品に付着し、あたかも胡麻を振りかけたように黄かっ色に焼き上がったものをいう。焼き上りによって胡麻だれ、飛び胡麻、色胡麻、かせ胡麻などと呼ばれ多種多様である。
2、窯変(ようへん)焼
赤黒い灰色の「ごげ」のできたように焼き上ったものを言い備前焼中の華である。作品が燃料の松灰に埋り高熱のため自然にできたもので、陶土に含まれている鉄分が炭素と化合して変色し、そのまま作品に付着して焦げついたためである。窯変は本来は「桟切り」ともいわれ、窯を桟で仕切ったスアナへ置いた作品がこうした焼成となる。
3、桟切り(さんぎり)焼
窯床においてある作品が灰に埋もれ、火が直接あたらないものと、空気の流れが悪いのが相まっていぶし焼(還元焼成)になったために生じる窯変で、ネズミ色・暗灰色・青色等がある。
4、緋襷(ひだすき)焼
素地が白色あるいは薄茶色のものに赤い線があるものをいう。本来は作品がくっつくのを防ぐため、藁を間にはさんだり巻
いたりして、大きな作品やサヤの中に入れ、直接火が当たらないようにして焼いたものである。